2021.10.28
2019年に発生した新型コロナウイルス感染症の影響で、医療機関における来院患者の動向にも大きな変化がありました。
「社会保険診療報酬支払基金 統計月報」によると、2020年5月には前年同月比マイナス25.9%と受診件数(入院外)が大きく減少したそうです。
その患者動向の把握のため、武田病院様とワイ・ビー・シーが実施した、地図システムを用いた来院患者分析例をご紹介します。
武田病院様より「コロナで患者数が減ったことは明らかであるが、”どの場所から””どのくらい”患者が減ったのかということを把握したい」との依頼があった。
そこで、院内システムから出力できる当年と前年の患者数の2指標を使い、メッシュを用いて来院患者数の減ったエリアを特定させる分析方法を提案。
この2指標の分析において一定の評価をいただいたものの、更なる深掘りを行いたいとの要望をいただいた。
そこで、調査結果のイメージや、武田病院様で保有するデータの活用方法等についてディスカッションを重ね、より詳細な分析方法を検討した。
相談を重ねる中で、院内システムから出力できる年度別の患者データに「紹介元医療機関」及び「紹介元医療機関住所」の項目を付与できることが判明。
そこで、Excelピボットテーブル機能を用い「紹介元医療機関」を軸に患者数を集計。
さらに年次紹介患者数の差分を計算し、「増加」「減少」の項目を作成し、そのデータに「紹介元医療機関住所」より座標を付与し弊社システム【MAP-STAR LTⅡ※】に取り込み。
差分の値を条件に値の大きい医療機関のマークが大きくなるように設定。さらに、増減によってマークの色を変更した。
すると、どこの紹介元からの患者増減が大きいか立地を加味した上で視覚的にわかるようになったので、「患者増減の原因を探るため大いに役立ちそう」と評価をいただいた。
※現在は販売終了しておりますが、後継製品MAP-STAR chiz+(ちずたす)で同様の分析ができます。
前述の患者側に患者増減の理由はないかとの見解を元に、紹介患者データについて「紹介元医療機関名」を条件に色分けしてプロットすることに。
前述の紹介元医療機関と合わせてプロットすることで各医療機関の実質診療圏が把握できることとなった。
その結果、紹介患者の減少した医療機関が明らかとなり、また患者の空白地帯が存在することも可視化された。
これにより、コロナ禍による通院控えなどにより適切な治療を受けられていない患者が存在する可能性が示唆された。
そこで【紹介の減った医療機関に対するヒアリング】や【空白地帯に所在する医療機関に医療連携の提案を行う】など、分析後にどのような行動をすればいいのかということまでイメージできたと評価していただいた。
分析のきっかけは漠然としたイメージであったが、ワイ・ビー・シーと分析方法の検討を重ねることで調査内容を具体化することができ、さらには分析後にどのようなアクションを実施するべきかまで明確になった。
武田病院様は地域医療支援病院としての使命を基に、地域診療所の医師のバックアップや患者様への適切な医療の提供に日々努めています。
名称 | 武田病院グループ本部 |
住所 | 〒600-8558 京都府京都市下京区塩小路通西洞院東入東塩小路町841-5 |
電話番号 | 075-353-3838 |
URL | https://www.takedahp.or.jp/ |